地方公立美術館の枠に収まらない高い評価を受ける最大の理由は、専門機関も認める「収集方針の明確さと収蔵品の質の高さ」にあります。開館当初から築き上げられたコレクションは、大きく分けて二つの圧倒的な柱を持っています。
1. 国内屈指の「イタリア近現代美術」コレクション
ふくやま美術館の代名詞とも言えるのが、20世紀初頭の未来派からメタフィジカ(形而上絵画)、現代の空間主義に至るイタリア近現代美術の体系的な収蔵です。ジョルジョ・デ・キリコ、アメデオ・モディリアーニ、ルーチョ・フォンタナ、ジャコモ・バッラといった巨匠たちの名品が揃い、美術史の教科書で目にする傑作を間近で鑑賞できます。地方美術館でこれほどまとまったイタリア美術の系譜を追体験できる施設は、日本国内でも極めて稀有な存在です。
2. 刀剣界を揺るがす「名刀コレクション」の存在感
もう一つの強力な磁場が、国宝や重要文化財を含む「小野コレクション」をはじめとする古名刀の数々です。鎌倉時代から南北朝時代にかけての備後・備三地域の刀工による名作はもちろん、名刀「江雪左文字」や「会津正宗」といった歴史的至宝が展示される会期には、全国から熱心な刀剣ファンが押し寄せます。学芸員の綿密な調査に基づいたライティングと展示設計は、刃文や地鉄の微細な輝きまで鮮明に浮かび上がらせると専門家筋からも高く評価されています。