抗がん剤を使わない選択、余命はどう変わるのか

抗がん剤を使わない選択、余命はどう変わるのか

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現場の医師たちは、抗がん剤を使わない選択について何を考えているのか。複数の腫瘍内科医への取材で共通して聞かれたのは、「患者が『抗がん剤は意味ない』と言って拒否するケースの背景には、説明不足や副作用への恐怖がある。医師側が抗がん剤のベネフィットとリスクを正確に伝えきれていない」という自省の言葉だ。実際、余命宣告を受けた患者に対して抗がん剤を提示する際、延命効果の数字ばかりが強調され、副作用による生活の質低下が十分に語られないケースは少なくないと指摘される。一方で、緩和ケア病棟(ホスピス)で働く医師たちは、「治療をやめた患者さんが『もっと早くこうしていればよかった』と話すことがある。痛みや息苦しさを徹底的に取り除く緩和ケアの技術は、ここ数年で格段に進歩した」と語る。末期がん患者のつらい症状は、適切な緩和ケアによって8割以上が軽減できるという報告もある。抗がん剤をやめた後の余命は、緩和ケアの質によって確実に「生きている時間の濃さ」が変わってくる。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。