形態のみならず、野外における生態や行動習性にも両者の明確なニッチ(生態的地位)の分化が見られます。クワガタ採集の見分け方のコツとして、採集場所の環境そのものが有力な判断材料となります。
ヒラタクワガタは極めて縄張り意識が強く、好戦的な性格です。樹液が出ているクヌギやコナラ、ハルニレ、ヤナギなどの巨木において、「樹洞(ウロ)」や深い樹皮のめくれ、根元の隙間といったシェルターを好んで根城にします。昼間は洞の奥深くに潜み、夜間も大顎を外に向けて威嚇しながら樹液を独占する傾向があります。
対するコクワガタは環境適応力が高く、大型樹洞から細い枝先、樹皮のわずかな窪み、都市部の公園や街灯周辺まで広範囲に出現します。ヒラタクワガタなどの大型種との直接衝突を避け、樹液スポットの周辺部や細枝の傷口で器用に吸汁する柔軟な行動パターンを持っています。