午後6時、ナイターのサイレンが鳴り響く前の広島市内。本通り商店街のアーケードを歩けば、道行く人々のスマートフォンから同じ解説者の声が漏れ聞こえてくる。スタジアムにいなくても、その瞬間ごとの息遣いが街中に充満する感覚。これこそが地元広島で長年培われてきた連帯感の正体だ。
だが、2026年の風景は少し違う。個々人がただ受動的に試合を眺める時代は完全に終わった。視聴者は指先ひとつで歓声を送り、戦術を論じ合い、遠く離れた東京や大阪のカープファンとも瞬時に悔しさと歓喜を分かち合う。メディアが一方的に情報を流すのではなく、ファンが発する熱量を吸い上げて即座にコンテンツへと還元していく。この双方向の循環が、街全体のボルテージを極限まで引き上げている。