なぜネット上では、東出昌大をはじめとする長身俳優に対して「サバを読んでいる」という憶測が絶えないのでしょうか。そこには視聴者の認識のズレと、日本の映像業界が抱える構造的課題という二重の盲点が存在します。
第1の盲点は、「小顔効果による認知的錯覚」です。人間は他者の身長を認識する際、頭部の大きさを無意識の基準尺度(スケール)として全体の長さを推測します。顔が極端に小さい人物は、同じ身長で顔が大きい人物と比較して、脳内でより高く換算されます。東出昌大の場合、前述の通り8.5頭身を超えるバランスを持つため、視覚情報として「195cm近い人物」と同じ縮尺に見えてしまうのです。
第2の盲点は、映像制作現場におけるセットの規格です。日本の家屋やスタジオセットの出入口(鴨居)の標準的な高さは、在来工法でおよそ180〜182cm、近年の住宅でも200cm程度です。189cmの東出昌大が古い民家や旅館のロケセットに入ると、ほぼ例外なく鴨居に頭をぶつけそうになるか、わずかに前屈みになって移動することになります。視聴者はその仕草を見て「鴨居が180cmなら、彼は2m近くあるに違いない」と錯覚し、誤解が強化されていく構造があります。