下町情緒と若者文化が交差する北千住駅西口。宿場町通りの一角に店を構える「麺屋音」の暖簾をくぐると、まず耳に飛び込んでくるのは心地よいジャズや琴の音色、そして鼻腔を心地よく刺激する芳醇な煮干しの香りです。この空間設計こそが、従来のラーメン店が持つ無骨なイメージを覆す第一のフックとなっています。
最大の武器である「濃厚煮干しそば」は、全国の産地から厳選された上質なカタクチイワシや平子煮干しを惜しみなく投入。大量の煮干しを動物系白湯スープとともに極限まで炊き上げることで、セメント色と黄金色が混ざり合う高粘度のスープを生み出しています。特筆すべきは、濃厚煮干し系にありがちな強烈な苦味や塩分のトゲを、丁寧な下処理と独自の乳化技術によってマスキングし、純粋な旨味と甘みへと昇華させている点です。
合わせる麺は、スープをしっかりと持ち上げる低加水のストレート中細麺。パツンとした歯切れの良さと小麦の豊かな香りが、どっしりとした重厚スープと見事な調和を見せます。一口すするごとに押し寄せる魚介の芳醇なウェーブと、舌に残る奥深い余韻が、訪れる者をリピーターへと変える決定的な要因となっています。