なでしこは、奈良時代の歌人・山上憶良が『万葉集』で詠んだ「秋の七草」のひとつに数えられます。春の七草が無病息災を祈って食べるものであるのに対し、秋の七草は目で見つめ、季節の移ろいと美を愛でるための植物です。
秋の七草に選ばれている日本の原種が「カワラナデシコ(河原撫子)」です。日当たりの良い河原や山野の草原に自生し、以下のような際立った特徴を持っています。
【カワラナデシコの主な特徴】
- 繊細な花弁の切れ込み:5枚の花弁の先が細かく糸状に裂けており、風に揺れる姿はレース細工のような優美さを持つ。
- 開花時期の長さ:開花時期は6月から10月頃と長く、夏から初秋にかけて野山を彩る。
- 耐寒性の強さ:日本の気候に適応しており、寒さには極めて強い宿根草。
古来、薬用植物「瞿麦(くばく)」としても重宝され、種子や全草が生薬として利尿や消炎に用いられてきた実学的な歴史も持ち合わせています。