東京グローブ座の座席選びにおいて最も重要なのは、フロアごとの視線の高さと傾斜角度の違いを把握することです。同じ劇場内でありながら、階層によって得られる鑑賞体験は明確に分かれます。
1階席の見え方は、圧倒的な臨場感が最大の魅力です。舞台の床面と1階最前列の高さが近いため、演者がステージ先端に立った際には汗の滴りや衣擦れの音、微細な表情のゆらぎまでダイレクトに伝わります。ただし、A列からD列付近までは座席の段差が緩やかであるため、前に座高の高い観客が座った場合、センター奥の立ち位置と視界が被る「頭かぶり」が発生するケースがあります。段差がしっかりと付くE列以降の中央ブロックは、前の人の頭に視界を邪魔されることなくストレスフリーで観劇できるエリアです。
2階席の見え方は、劇場全体のなかで視覚的な満足度がもっとも高いエリアです。舞台から適度な高低差があり、ステージ奥のセットから手前の立ち位置まで均一に見通せます。2階最前列(A列)は手すりの高さが視界の下端に収まる設計となっており、演者の全身の動きや照明効果、ダンスのフォーメーションを余すところなく捉えられます。「1階後方列よりも2階前方列のほうがクリアに見える」と語るリピーターが多いのもこの構造が理由です。
3階席の見え方は、一般的な大劇場の3階席のような「米粒サイズにしか見えない」という感覚とは無縁です。ステージまでの水平距離が短いため、肉眼でも演者の大まかな挙動は十分に追えます。しかし、座席の傾斜が急であるため、舞台を見下ろす角度(俯瞰角)がかなり深くなります。舞台手前ギリギリで行われる芝居当時は見下ろしによる首への負担が生じやすく、手すりのバーがステージ手前側の視界に被るポイントがある点には留意が必要です。