火のない所に煙は立たないと言われるように、根拠のない噂であっても、それを誘発した「きっかけ」や「構造的要因」が存在します。現場の取材や興行関係者の証言から見えてきた理由は、主に以下の4点に集約されます。
1. 地方ホール公演(平日開催)と大都市アリーナの集客ギャップ
吉川晃司は「大都市だけでなく、全国のファンの元へ直接音楽を届けたい」という強い信念のもと、地方都市の市民会館や文化ホールを細かく回るロングツアーを定期的に敢行しています。過密日程の中でどうしても設定される「地方都市・平日夜の公演」では、コアファン層の仕事や家庭の都合により、開演直前まで客足が鈍く見えたり、後方座席にわずかな余裕が生じたりすることがあります。この局所的な風景を切り取った投稿が、SNS等で「ガラガラだった」と過度に拡散された経緯があります。
2. ステージ演出・音響設計に伴う「見切れ席の暗幕処理」
ロックコンサートでは、巨大なスピーカータワーや照明トラス、特殊効果機材を配置するため、ステージ真横や機材後方の座席をあらかじめ「見切れ席(販売対象外)」として黒幕で覆う演出調整を行います。満席であっても客席の一部ブロックが暗幕で封鎖されている光景を初参戦の観客が目撃し、「座席が埋まっていない=不入り」と早合点して口コミに書き込んだケースが少なくありません。
3. 電子チケット導入と公式リセールによる「直前空席の可視化」
近年導入された厳格な電子チケットシステムと公式トレード(リセール)制度により、チケット転売が厳しく制限されています。これにより、急な出張や体調不良で行けなくなった観客の座席が直前にトレード市場へ並ぶこととなり、ネット上で「まだチケットが余っている」という印象を与えやすくなりました。また、トレードが成立しなかった数席がぽっかりと空席として残る現象が、現場で目立つ要因となっています。
4. 昭和〜平成の独立期における苦闘の記憶がデジタルタトゥー化
吉川晃司は若き日に大手芸能プロダクションから独立し、自らの音楽性を貫くために個人事務所を設立した歴史があります。当時のメディア露出激減や一部地方公演での苦戦といった30年以上前のエピソードが、ネット上のまとめ記事や掲示板などで現在進行形の情報であるかのように再生産され続けている点も見逃せません。