一般的な腰痛の約85%は、レントゲン検査等で特定の病変が特定できない「非特異的腰痛(筋肉の緊張や姿勢不良など)」とされています。これらは体を動かした瞬間に痛みが増し、安静に横になることで痛みが和らぐ特徴を持ちます。一方で、腰の痛みにおける癌の可能性を疑う最大の分岐点は、「安静時痛(あんせいじつう)」の有無です。
癌に起因する腰痛は、筋肉疲労と異なり、ソファーに横たわっても睡眠をとっていても痛みが引きません。それどころか、夜間の就寝中に痛みが激しくなり、目が覚めてしまう「夜間痛」が高頻度で見られます。これは、腫瘍が周囲の神経組織を直接圧迫・浸潤したり、骨破壊を伴う炎症性サイトカインを持続的に放出したりするためです。
さらに、癌による腰痛の特徴として「痛みが日増しに強くなり、数週間から数カ月にわたって一度も軽快しない進行性」が挙げられます。姿勢を変えても楽な体勢が見つからない場合や、市販の鎮痛薬を服用しても効果が感じられない場合は、一般的な骨関節のトラブルとは異なる病態を警戒しなければなりません。