技術的な視点からも、現代相撲への提言は鋭い。最近の土俵では、立ち合いの鋭さだけで勝負が決まる単調な相撲が増えたと指摘される。四つに組んでからの攻防、土俵際での粘り。そうした相撲の醍醐味が減っているのはなぜか。彼は「下半身の鍛え方の違い」を挙げる。泥にまみれて四股を踏み、鉄砲を繰り返す。地味な基礎練習の積み重ねだけが、本物の強さを作る。
科学的なトレーニング理論が導入される現代において、あえてアナログな稽古の重要性を説く。それは、人間の身体が持つ本来の可能性を信じているからに他ならない。一瞬の爆発力だけでなく、15日間を戦い抜くための強靭な肉体と精神。それらは効率的なジムワークだけでは決して手に入らないのだ。