14歳にして映画『誰も知らない』で第57回カンヌ国際映画祭の最優秀男優賞を史上最年少で獲得した柳楽優弥。しかし、その輝かしい栄冠の裏で、10代後半から20代前半にかけては重度のプレッシャーやアイデンティティの葛藤、激しい体重増減など、深いスランプと苦難の時期を経験していました。
当時の自著や手記、ドキュメンタリー番組の回顧録で語られた「一度俳優を辞めようと考え、洗車のアルバイトをしながら社会の現実を見つめ直した」という告白は広く知られています。その挫折を経て、蜷川幸雄の舞台などを通じて這い上がった彼が、映画の本格的なメインキャストとして獰猛な牙を剥いたのが本作『クローズEXPLODE』でした。
映画評論家や共演者たちが口を揃えて絶賛したのが、柳楽優弥の卓越した目の演技です。セリフに頼ることなく、まばたきを極限まで減らした据わった視線、相手の喉元を食いちぎらんばかりの殺気、そしてふとした瞬間に見せる冷徹な諦念。この重層的な心理描写こそが、単なるヤンキー映画の枠組みを超えた深みをもたらしました。「主役を食ってしまった」「柳楽優弥の演技力と存在感だけでチケット代の元が取れる」という公開当時の評判は、彼が本物の怪物俳優として完全復活を遂げた決定的な証明となったのです。