厚生労働省が定めるハラスメント防止ガイドラインでは、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントといった明確な定義に基づいた指導が行われている。しかし、日々の職場生活で生じる「嫌われ」の多くは、ガイドラインの基準に直接抵触しないグレーゾーンで発生する。だからこそタチが悪い。
組織心理学の観点からこの現象を捉えると、集団内における「心理的安全性」の侵害が大きく関わっていることがわかる。人間は本能的に、自分の発言や存在を否定される恐れのある環境を避ける。たとえば、同僚が提案をしている最中に深いため息をつく、話の途中で「でも」「だって」と否定から入る、あるいは自分の実績ばかりを過剰にアピールするといった微細な挙動。これらは組織心理学で「マイクロ・アグレッション(微細な攻撃)」と呼ばれ、受け手には確かな精神的ダメージを蓄積させる。法令違反にはならずとも、周囲の信頼を静かに削り取っていく毒として作用するのだ。