社頭の木々やみくじ掛けの前に立ったとき、誰もが一度は「おみくじ吉を結ぶか持ち帰るか」という選択に直面します。
全国各地の神社で行った参拝動向の観察や、現役の神職への取材を総括すると、「吉のおみくじは財布や手帳に大切に保管し、持ち帰るのが本来の作法」という見解で一致しています。
境内の木や柵におみくじを結びつける風習は、諸説あるものの「神木の生命力と自分の運勢を結び合わせる」「悪運や凶を境内にとどめて祓い清めてもらう」という信仰から生まれたものです。つまり、結ぶ行為は本来、「凶や大凶など好ましくない運勢を神様に引き取っていただく」ための儀礼でした。
吉という喜ばしい神仏からの教えを引いたのであれば、それは一年間の「人生の行動指針」です。境内に残して立ち去るのではなく、持ち帰って時折読み返し、日々の選択に迷った際の心の拠り所とすることが、神職が推奨する最も誠実な向き合い方です。一年が経過した翌年の初詣の際に、感謝の祈りを込めて古札納所へ納めるのが最も美しい循環とされています。