行政が設備の所有権を維持したまま、民間事業者に事業の運営権を長期(15〜30年間程度)にわたり売却するコンセッション方式のメリット・デメリットは、多角的に比較検討される必要があります。
最大のメリットは、民間企業のノウハウによるコスト削減と、複数自治体や上下水道の包括管理によるスケールメリットの創出です。一方でデメリットは、契約期間が極めて長期にわたるため、激変する経済情勢や災害リスクに対する契約の硬直性が生じる点、そして事業者側が株主配当を優先して設備更新費や人件費を削るインセンティブが働く点にあります。
国内の民間委託現場では、海外水メジャーと水ビジネスに携わる日本企業が激しい主導権争いを繰り広げています。ここで、世界トップのヴェオリアと、日本を代表する総合水インフラ企業であるメタウォーター、そして従来の自治体公営方式の違いを構造データから比較します。
メタウォーターとヴェオリアの比較から見えてくるのは、両者が単なる敵対関係にとどまらず、実際の受託コンソーシアム(企業連合)では組んで参画するケースが多いという複雑な現実です。ハード機器の納入とプラント改修は技術力の高い日本企業が担い、全体の財務計画や包括的マネジメントをヴェオリアなどの水メジャーが率いる形が定着しつつあります。