李雪主氏の知名度を決定づけたのは、北朝鮮の国家主導型エリート音楽集団である銀河水管弦楽団(ウナス管弦楽団)および「牡丹峰(モランボン)重唱組」での歌手活動です。彼女は李雪主 元歌手として『燃える願い』や『足取り』といった体制称賛歌から抒情的な民謡までを伸びやかなソプラノで歌い上げ、平壌の特権階級を中心に絶大な人気を博していました。
当時の公演映像を確認すると、伝統的なチマチョゴリだけでなく、スパンコールをあしらったモダンな洋装ドレスを着こなし、感情豊かに歌い上げる姿が確認できます。この銀河水管弦楽団 李雪主の華麗なステージに強く惹きつけられたのが、当時後継者としての修行を積んでいた金正恩氏でした。
複数の報道各社・脱北関係者の証言によると、2000年代後半に父親の金正日総書記とともに楽団の公演を鑑賞した金正恩氏が一目惚れし、交際へと発展。2009年頃に正式に婚姻関係を結んだと見られています。当初は最高指導者の妻としての身元を伏せられていましたが、金正日総書記の急逝を経て金正恩体制が本格始動した2012年7月、平壌の綾羅(ルンラ)人民遊園地の竣工式において「金正恩元帥の夫人・李雪主同志」として国営テレビで電撃的に紹介され、世界中にその存在が知れ渡ることとなりました。