私生活での波乱がありながらも、眞栄田郷敦が映像業界で引く手あまたである最大の要因は、共演者や演出家を唸らせるずば抜けた演技力と現場でのストイックさにあります。彼がこれまでに出演してきた映画やドラマの数々は、単なる若手イケメン俳優の枠組みを完全に超越しています。
『エルピス-希望、あるいは災い-』における演技力と評判は、彼のキャリアにおける最大の転換点でした。長澤まさみ演じる落ち目のアナウンサーとともに冤罪事件の真相に迫る若手ディレクター・岸本拓朗役を担当。自信なさげなボンボンディレクターから、自らの良心とトラウマに向き合い、次第に鬼気迫るジャーナリズムを宿していくグラデーションの変化を見事に表現しました。過呼吸に陥るシーンや、喉の奥から絞り出すような慟哭の芝居は「第60回ギャラクシー賞」をはじめとする各アワードで絶賛され、若手屈指の演技派としての地位を決定づけました。
さらに実写化の難易度が極めて高かった『ゴールデンカムイ』において、眞栄田郷敦が演じた孤高の凄腕スナイパー・尾形百之助役は、原作ファンからも熱狂的な支持を集めました。どこか虚無感を湛えた瞳、感情を殺した射撃姿勢、微細な顎の角度に至るまで原作のコマを精緻にトレース。現場スタッフによれば、彼は撮影の合間も銃の扱いを一切手放さず、指先の皮膚が硬化するほど訓練を重ねていたといいます。こうした異常なまでのストイシズムこそが、彼の演じるキャラクターに唯一無二のリアリティを宿らせています。