ネット上の掲示板やSNSで囁かれ続けた「VSUNはペーパーカンパニーではないか」「粉飾があるのではないか」といった極端な噂について、事実関係を検証する必要があります。現地調査の報告や業界内のサプライチェーン情報、公開された製造ラインの稼働状況を確認する限り、VSUNがベトナムにおいてギガワット級の大規模な生産キャパシティを持つ実体企業であることは紛れもない事実です。
では、なぜこれほどまでに市場の疑惑が膨らみ、業績予想の信憑性が疑われたのでしょうか。その根底には、米国の対中通商政策が生み出した「過渡期の特需」がありました。中国系サプライヤーに対する米国の通商制裁を回避するため、東南アジア諸国(ベトナム、マレーシア、タイ、カンボジア)を経由するモジュール供給への需要が一時期集中しました。VSUNはこの好機を的確に捉え、圧倒的な低コスト製造と北米向け販売によって異次元の売上高と営業利益を叩き出したのです。
しかし、こうした「迂回輸出」的な構造に対して米商務省(DOC)が厳重な調査を開始し、反ダンピング・相殺関税(AD/CVD)の適用範囲を拡大する方針を打ち出したことで潮目が変わりました。特需が一転して関税リスクの温床となり、将来のキャッシュフロー計算が根底から揺らいだことが、噂の肥大化と株価のディスカウントに拍車をかけた本質的な構造要因でした。