表層的なニュース報道では「政策の不一致」と片付けられがちですが、連合と共産党の対立理由の本質は、組織の存在意義そのものに関わる「世界観の衝突」にあります。
連合の主力を占める民間大企業の産業別労働組合(自動車総連、電機連合、UIぜんせんなど)は、旧同盟(全日本労働総同盟)の流れを汲む「労使協調路線」を信条としています。「企業の成長があってこそ労働者の生活水準や賃上げが実現する」という資本主義経済を前提とした現実主義です。春闘の現場で経営陣と激しい交渉を行いつつも、企業の存続とパイの拡大を共有するスタンスを一貫して守ってきました。
対照的に、日本共産党およびその影響下にある労働運動の根本には「階級闘争論」があります。労働組合を「資本家による搾取と戦う革命の砦」と位置づけ、究極的には社会主義・共産主義社会への変革を目指す思想的バックボーンを持っています。民間大手労組から見れば、共産党の姿勢は「労使関係を意図的に破壊し、企業を危機に陥れる無責任な原理主義」と映り、共産党側から見れば連合幹部は「経営陣にすり寄り労働者を裏切る資本の手先(修正主義・労使協調派)」と映るのです。
この価値観の相違は妥協の余地がなく、両者が同じテーブルについて共通の政策協定を結ぶことは、互いのアイデンティティを根底から自己否定することを意味します。