流通業界の閉塞感を打ち破る一手として注目を集めているのが、外食・小売り提携の背景にあるシナジーの追求です。かつては単なるコラボレーション弁当の開発程度に留まっていた協業が、現在では製造・物流・販売拠点の完全統合へと進化しています。
大手外食チェーンが持つセントラルキッチン(集中調理施設)の余力を活用し、スーパーの惣菜売り場向けに専門店の味をそのままパッキングして供給する動きや、逆に外食チェーンのデリバリー拠点としてスーパーのバックヤードを活用する相互乗り入れが急増しています。双方にとって、「工場の稼働率向上」と「手作り感ある本格惣菜の獲得」という利害が一致した結果です。
ここでネット上の一般的な言説に潜む誤解を是正しておく必要があります。SNSなどでは「外食がスーパーの棚を借りた単なる話題作り・客寄せパンダに過ぎない」といった冷ややかな意見が見受けられますが、これは実態を見誤っています。
真の狙いは「粗利益率の確保」と「廃棄ロスの極小化」です。外食産業は人件費と光熱費の高騰で店舗単体での利益率が低下しており、リテール販売という「箱(客席)に縛られない販路」が生命線になっています。一方の小売側も、原価高騰で利益の出にくいNB(ナショナルブランド)商品に頼らず、粗利率が40%を超える高収益な専門店コラボ惣菜を揃えなければ利益が残らない構造になっています。単なるプロモーションではなく、生き残りのための「サプライチェーン共生」こそが提携の本質です。