この事件の発端は、2019年末に配信された電子書籍に遡ります。新井祥子氏が「2015年1月に町長室で黒岩信忠町長から性被害を受けた」と告白したことで、メディアやインターネット空間に大きな衝撃が走りました。新井氏の経歴を振り返ると、草津町議会で唯一の女性町議として活動しており、その立場からの告発であったことが社会的な耳目を集める要因となりました。
しかし、告発を受けた黒岩信忠町長は即座に緊急記者会見を開き、「全くの事実無根であり、町長室のドアやカーテンは常に開かれていた」と全面否定しました。町長は自身の潔白を証明するため、虚偽の事実によって名誉を傷つけられたとして刑事告訴と民事提訴に踏み切ります。
町議会および地域住民の間では、町の誇りである温泉観光地としてのブランドを不当に貶められたとする怒りが急速に広がりました。2020年12月に行われた草津町議会議員の解職請求(リコール)住民投票では、圧倒的な賛成多数によって新井氏の失職が決定しました。リコール理由の根幹には、議場の品位を著しく汚し、根拠のない虚偽で行政運営を麻痺させたことに対する町民の厳格な不信任がありました。