そもそも、デニムの裾を折り返す行為はファッションとして始まったわけではない。19世紀後半、創業者リーバイ・ストラウスが過酷な鉱山労働者に向けて仕立てたワークパンツは、未防縮の生デニムだった。洗濯による激しい縮みを計算し、あらかじめ長めに作られていた丈を、労働者たちが作業現場で無造作に折り曲げて穿いたことがすべての発端である。
その実用的なディテールを一気にユースカルチャーの象徴へと押し上げたのが、1950年代の銀幕スター、ジェームズ・ディーンだった。映画『理由なき反抗』で彼が見せた、Levi's 501の裾を大きく折り返し、赤いドリズラージャケットと白いTシャツを合わせた姿は、大人社会への静かな反骨精神として若者たちの網膜に焼き付いた。泥臭い作業着だったアメリカンカジュアルの定番は、この瞬間、都市のストリートを駆け抜けるスタイルへと昇華したのだ。