三島由紀夫の墓はどこにあるのか――。その所在地は、東京都府中市と小金井市にまたがる広大な都立多磨霊園(10区1種13側14番)に位置します。多くの文豪や歴史上の偉人が眠る日本屈指の大規模公園墓地であり、春には桜、秋には紅葉が広がる静寂に包まれた場所です。
霊園内の区画を訪ねると、そこにあるのは「三島由紀夫」と大書されたモニュメントではなく、格式高い「平岡家之墓」と刻まれた和型の墓石です。三島由紀夫という筆名は墓石の正面にはなく、墓誌(法名碑)に本名の「平岡公威」として刻まれています。華々しい文壇のスターであり、行動する知識人として世界に名を轟かせた三島は、死してなお一人の家族の一員として先祖代々の墓所に身を寄せています。
多磨霊園には、三島のほかにも北原白秋、江戸川乱歩、与謝野鉄幹・晶子夫妻、吉川英治など、近代日本文学を代表する著名人の墓が多数点在しています。文学散歩として霊園を巡る愛好家も多く、三島の墓所はその中でもひときわ厳粛な空気を漂わせています。