佳那晃子の名が映画ファンの記憶に決定的に刻まれたのは、1981年公開の深作欣二監督作品『魔界転生』です。彼女が演じた細川ガラシャ(玉子)の役どころは、妖艶さと狂気を孕んだ圧巻の存在感を放ちました。とりわけ、真田広之演じる伊賀の霧丸との絡みや、炎に包まれる城中での蠱惑的なヌードシーンは、日本映画史に残る屈指の名場面として語り継がれています。
深作監督の現場は一切の妥協を許さないことで知られていましたが、佳那晃子は監督の要求する情念の激しさを全身で受け止めました。当時の映画誌のインタビューにおいて、彼女は露出そのものを目的とするのではなく、「役柄の魂を宿すための必然的な脱皮」であった旨を述懐しています。続く1983年の五社英雄監督作『陽暉楼』でも、花街に生きる女の哀歓を生々しく体現し、ブルーリボン賞助演女優賞を受賞するなど、批評家筋からも絶賛を浴びました。
さらに後年発表された写真集においても、安易なグラビア路線に流れることなく、陰影を生かしたモノクローム主体の構図で、大人の女性が持つ凛とした美しさを提示しました。これらの作品群に共通しているのは、脱ぐことに対する確固たる覚悟と、作家性の高いクリエイターたちとの濃密な信頼関係です。この制作経緯こそが、単なるスキャンダリズムに終わらないロングセラーの根拠となっています。