「手を抜くくらいなら、自分が残業してでもやり遂げたい」「他人に迷惑をかけることだけは絶対に避けたい」。こうした強い規範意識を持つ人こそ、精神医学においてうつ病のハイリスク群として位置づけられてきました。ドイツの精神病理学者テレンバッハが提唱したメランコリー親和型性格の理由を探ると、几帳面、良心的、強い秩序志向、そして過剰なまでの他者配慮という共通項が浮かび上がります。
メランコリー親和型の特徴を持つ人々は、組織において「極めて優秀で誠実な働き手」として高く評価されます。しかし、その内面では「100点満点以外はすべて失敗」とみなす白黒思考(全か無かの思考)が常に働き続けています。完璧主義で真面目な人の共通点は、自分に対するハードルを異常なほど高く設定し、どれほど成果を上げても「まだ足りない」「もっと努力しなければならない」と自らを追い詰めてしまう点にあります。
さらに、他者との摩擦を極度に恐れるため、理不尽な業務命令や過重なノルマに対しても「NO」と言えません。周囲の期待に応えようと孤軍奮闘し、キャパシティを大幅に超過しても弱音を吐くことを「自己の敗北」や「恥」と捉えて抱え込みます。責任感の強さが、皮肉にも自己防衛のためのブレーキを破壊してしまうのです。