「炭火は放置して熾す」。この逆転の発想を具現化した代表格が、燃料工学の知見を取り入れた西岡流着火法です。林業試験場の元研究員が考案したこの手法は、現在でもBBQ炭火簡単裏ワザの最高峰として多くのアウトドア愛好家に支持されています。特別な器具を買い足す必要がなく、新聞紙と炭だけで驚くほど素早く火を回すことが可能です。
原理の核となるのは、上昇気流を利用した炭の並べ方煙突効果です。温められた空気は比重が軽くなって上昇し、下部の隙間から冷たい外気を吸い込む自律的な循環が生まれます。この気流設計さえ正しく組まれていれば、うちわで人為的に送風せずとも、超強力な自然吸気が自動的に継続します。
西岡流着火法の基本ステップは極めてシンプルです。
1. 新聞紙を縦に細長く裂き、固く棒状にねじり合わせる。
2. グリルの底にねじった新聞紙を井桁(いげた)状に4〜5段組み上げる。
3. その周囲と上部を囲むように、炭を煙突状(筒状)に立てて配置する。
4. 中心部の新聞紙下端にライターで点火し、そのまま触らず10分〜15分放置する。
点火直後は黒い煙が立ち上りますが、炭で組んだ煙突の内部に熱がこもり始めると、まるでロケットストーブのような轟音とともに吸気が加速します。一般的な炭火火起こし時間目安である30分〜40分を大幅に短縮し、およそ10分から15分後には下段の炭から順に赤熱化していきます。周囲が完全に熾火(おきび)状態へ移行するまで、決してトングで突いたりうちわで扇いだりしてはいけません。