アルファ化米の歴史を語るうえで、避けて通れない人物がいる。尾西食品株式会社の創業者である尾西敏夫だ。戦中・戦後の食糧難や極限状態において、炊いたご飯の澱粉状態を急速乾燥によって維持し、長期間腐らせずに復元させるという画期的な着想を得た。
この歴史的なイノベーションは、日本の食品加工業に金字塔を打ち立てた。一度炊き上げたご飯を蒸気と温風で瞬時に乾燥させる技術は、米の細胞破壊を防ぎ、旨味成分を閉じ込める。創業者の情熱から始まった試みは幾多の改良を経て、現在では世界基準の非常食・保存食へと開花したのである。