「うちは年中無休だから」「他のスタッフは来ているから」と、危険な天候にもかかわらずスタッフに出勤を強いる管理職や店長が存在します。しかし、無理な出勤要請は倫理的な問題にとどまらず、明確な安全配慮義務違反(労働契約法第5条)に問われるリスクを企業側が背負う行為です。
労働契約法第5条には「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と明記されています。暴風雨のなかで無理に出勤を指示し、万が一その途上でスタッフが転倒して骨折したり、飛来物に当たって負傷したりした場合、事業主側は多額の損害賠償責任を負う可能性があります。
さらに、出勤途上の事故は原則として「通勤災害」として労働者災害補償保険(労災)の対象になります。しかし、現場の店長が私的な感情から「休むなら自分で代わりを探せ」「代わりが見つからないなら這ってでも来い」と迫る行為は、厚生労働省の定義する職場におけるパワーハラスメント(精神的な攻撃、過大な要求)に該当し得る重大なコンプライアンス違反です。
2026年現在の労務管理において、大手飲食チェーンや流通・小売大手の多くは、気象警報や計画運休に連動した明確な店舗休業マニュアルを整備しています。にもかかわらず現場レベルで理不尽な強制が行われている場合、それは本部の意向ではなく、店長個人の独断や店舗マネジメントの破綻に起因しているケースが目立ちます。理不尽な脅しに屈して身を危険にさらす必要はありません。