石川の真骨頂は、作品ごとに纏う雰囲気を丸ごと変えてしまう変幻自在さにある。ある作品では擦り切れた日常を生きる鬱屈した若者を演じ、別の作品では恐ろしいほどの純粋さで周囲を翻弄する。台詞の行間にある声なき声を聞き取り、呼吸ひとつで感情の起伏を表現する技術は、作品を重ねるごとに凄みを増している。
役作りにおいて彼女が重んじるのは、キャラクターを外側から組み立てることではなく、内側の痛みや歪みを自分のものとして受け止めることだという。過剰な演出に頼らず、その場にただ「存在する」ことの難しさを、彼女は誰よりも知っている。