仕事内容における最大のギャップは、「厨房内の作業比率」と「対人臨床・マネジメント業務」の比重にあります。実際の現場で求められる役割は大きく異なっています。
多くの保育園や小規模介護施設、給食委託会社に勤務する栄養士の主業務は、調理業務と献立作成です。朝の検収作業から始まり、大量調理用の回転釜を扱い、数百食分の食材の仕込みや盛付、食器洗浄、厨房内の衛生管理をこなします。厨房で働く現役栄養士の証言によると、「入社前はカロリー計算や献立開発を華やかに想像していたが、実際は立ち仕事で汗を流す調理作業が8割を占め、体力勝負の毎日だった」という声が多数を占めます。調理技術や現場オペレーション能力を極める上では欠かせないポジションですが、体力的負担の大きさは否めません。
対照的に、総合病院やリハビリテーション病院に勤務する管理栄養士の仕事内容は、高度な臨床業務が中心となります。病棟を巡回する病棟カンファレンスへの参加、医師や看護師、薬剤師らで構成されるNST(栄養サポートチーム)の一角としての活動、生化学検査値(アルブミン、CRP、血糖値など)の分析に基づく栄養処方の提案など、業務範囲は極めて多岐にわたります。
さらに、外来患者を対象とした個別カウンセリングや、生活習慣病予防を目的とした特定保健指導の現場でも決定的な差が生じます。特定健康診査の結果、メタボリックシンドロームのリスクが高いと判定された対象者に対する特定保健指導は、制度上、医師・保健師・管理栄養士にのみ実施権限が与えられており、栄養士が単独で担当することは認められていません。病室での病態栄養相談から行政の予防医療最前線まで、対人コミュニケーションを通じて行動変容を促す役割は、管理栄養士ならではの領域です。