メゾンの黄金期を語る上で欠かせない重要人物が、パティスリー界の巨匠ピエール・エルメだ。1990年代、シェフ・パティシエとして手腕を振るった彼は、ローズ、フランボワーズ、ライチを組み合わせた伝説的フレーバー「イスパハン」をはじめとする数々の名作を生み出し、ブランドの創造性を飛躍的に高めた。
そして1993年、フランスの製菓企業ホルダー・グループによる買収が世界ブランドへの決定的な転機となる。オーナーのフランシス・ホルダーと息子のダヴィッド・ホルダーは、伝統のサロン・ド・テ文化と洗練されたパッケージデザインを世界主要都市へと広げた。伝統を守りつつグローバルなラグジュアリーブランドへ脱皮させた手腕は見事と言うほかない。