夏の空にそびえ立つ積乱雲は、風景画において最もドラマチックな主役となる。しかし、ただ巨大に描くだけでは画面の圧迫感を生むだけで終わってしまう。巨大な雲を描く際の鍵は、光の屈折と「影の中の彩度」にある。
積乱雲の輪郭には、背面からの光線が漏れるシークレット・ハイライト(シルバーライニング)を生かしたい。光が強く当たる輪郭部分は白く跳び、内部の深い影には地上からの反射光や、空の青が落ちて鮮やかな青紫や赤紫のグラデーションが生まれる。影の色相を単なる灰色にせず、彩度を適切に残すことで、雲の中に途もない空気の層と体積が存在しているかのような錯覚を観客に与えることができるのだ。