なぜ越前リョーマというキャラクターは、これほどまでに長年愛されるハマり役となったのか。その答えは皆川氏の計算し尽くされた演技のアプローチにある。リョーマは単に生意気な少年ではない。圧倒的な強者の雰囲気を持ちながらも、12歳相応のあどけなさや、日常で見せる無邪気な一面を併せ持つ複雑なパーソナリティだ。
皆川氏は、コート上で相手を挑発する際の冷徹で硬質な低音ボイスと、先輩たちに甘えるような(あるいは素気なく返す)日常会話での自然体なトーンを見事に使い分ける。感情を叫び散らすのではなく、静かな自信を漂わせるセリフ回しこそが、リョーマの孤高の強さを印象づけているのだ。低音でありながら耳に心地よく残る独特の発声技法こそが、ハマり役に隠された最大の秘密と言える。