東京大学が下す懲戒処分の中で最も重い「懲戒解雇」は、就業規則上、大学の名誉を著しく失墜させたり、法令違反などの重大な背信行為が認められた場合にのみ適用されます。近年の公式発表や捜査機関の動向を検証すると、処分に至る理由は個人のモラル崩壊にとどまらず、大学の研究システムそのものを揺るがす深刻な事案に及んでいます。
象徴的な事案の一つが、大学院医学系研究科の元教授(佐藤伸一元教授)による収賄・脅迫事件です。警視庁捜査二課に逮捕されたこの事件では、社会連携講座「臨床カンナビノイド学講座」の設置・運営に関わる利害関係者から多額の便宜供与や資金提供を受けた疑いが持たれました。東京大学は2026年1月26日付で同教授を懲戒解雇としました。報道や訴状によると、関係者に対して「社会的にも抹殺する」といった苛烈な脅迫発言を行っていた事実も浮き彫りとなり、最高学府の教授という地位を私利私欲と威圧の道具に悪用した実態が白日の下に晒されました。
さらに2026年11月28日付(12月公表)の処分事案では、別の教授に対して就業規則第38条第4号(窃盗、横領、傷害等の刑法犯に該当する行為)および第5号(大学法人の名誉・信用の著しい毀損)を根拠とする懲戒解雇が発令されました。大学側は被害者のプライバシー保護を理由に詳細な罪種を伏せつつも、「人格権を著しく侵害する違法行為」があったことを公式発表で明記しており、学内での権力関係を背景にした深刻な逸脱行為が存在したことを示しています。