日本の商業施設やスーパー、飲食店などで閉店時刻が近づくと流れるおなじみのメロディ。多くの人が「あ、蛍の光が流れてきたから帰らなきゃ」と口にしますが、音楽学的には「蛍の光」ではなく「別れのワルツ」という全く別の管弦楽曲が流れているケースが大半です。
この2つの楽曲は、どちらもスコットランド民謡「オールド・ラング・サイン」を原曲としているため旋律は酷似していますが、決定的な違いが存在します。
1949年、名作映画『哀愁(Waterloo Bridge)』が日本で公開された際、劇中で主人公たちが踊る哀愁を帯びた3拍子の「オールド・ラング・サイン」が大ヒットしました。コロムビアレコードはこれを音源化するため、日本を代表する作曲家・古関裕而に編曲を依頼。「ユージン・コスマン」名義でリリースされたこの3拍子のワルツが、東京・銀座の百貨店などを皮切りに「客に不快感を与えず速やかに退店を促すBGM」として採用され、全国へ爆発的に普及したのです。