ネット上の成功体験ばかりに目を奪われがちですが、骨延長は整形外科手術の中でも極めて難易度が高く、合併症の発生率が高い手術です。術前のカウンセリングで軽視されがちな主要リスクと後遺症には、以下のようなものがあります。
- 偽関節・骨癒合不全(骨が固まらない):引き伸ばした空間に新しい骨が形成されず、骨折したままの状態が続く病態。骨移植や再手術が必要となり、治療期間が年単位で延長します。
- 深部感染・慢性骨髄炎:創外固定のピン刺入部や髄内釘から細菌が侵入し、骨の内部が化膿する重篤な感染症。最悪の場合、骨の壊死や敗血症を引き起こし、脚の切断に至るリスクすら存在します。
- 神経麻痺・知覚異常(下垂足):脛骨延長時に腓骨神経が過度に引き延ばされ、足首を持ち上げられなくなる障害。つま先を引きずって歩く状態になり、装具なしでの歩行が困難になります。
- 関節拘縮・尖足変形:アキレス腱が伸びきらず、踵が浮いたままつま先立ちの状態で固まる後遺症。追加のアキレス腱延長手術が必要になるケースが多発しています。
- 左右の脚長差・骨の回旋変形:延長のズレによって左右の長さが合わなくなったり、骨がねじれて癒合することで、骨盤や背骨に歪みが生じ、生涯にわたる腰痛や股関節痛の原因になります。
特に海外で手術を受けた患者が合併症を発症した場合、日本の大学病院や総合病院に駆け込んでも、「他院・海外での美容手術の後始末」に対する受け入れ体制は極めて厳しいのが現状です。国内医療機関からすれば、どのような器具が使われ、どういった処置がなされたのか詳細が把握できないため、再手術や感染巣の掻爬(そうは)を断られるケースや、高額な自由診療での再建手術を余儀なくされる事例が問題視されています。