小児睡眠医学の知見によると、大人の睡眠サイクルが約90分周期であるのに対し、乳児の睡眠周期はわずか40〜50分と半分程度しかありません。さらに、大人なら睡眠全体の約20%にとどまる浅い眠り(レム睡眠)が、乳児期には約50%を占めます。
生後1ヶ月までの新生児期は、体内時計を司るホルモンであるメラトニンの分泌がほとんどなく、昼夜の区別が一切つきません。2〜3時間おきの授乳と睡眠を反復するため、ベッドに置く・置かない以前に細切れ睡眠となるのが正常な生理現象です。
生後2ヶ月から3ヶ月にかけては、周囲の視覚刺激や音を認識し始める一方で、体内リズムはまだ未完成です。夕暮れ時から夜間にかけて理由なく泣き叫ぶ「黄昏泣き(コリック)」がピークを迎えるのもこの時期です。この段階で「ベッドで一人で眠ってくれない」と焦り、無理に寝かせようと格闘するのは得策ではありません。
この月齢で効果的なのは、睡眠リズムの土台作りです。朝7時前にはカーテンを開けて太陽光を浴びせ、日中は適度な生活音の中で過ごさせます。夕方以降は室内の照明を暖色系の間接照明に切り替え、入眠に向けた体内時計の同調を促します。身体の未熟さゆえに生じる夜泣きを「しつけ」や「ネントレ」で解決しようとせず、月齢特有の発達段階として捉える視点が求められます。