電子書籍出版をスタートするにあたり、初心者が陥りがちな落とし穴や見落とされがちな制度上のリスクが存在します。事前に把握しておくべき代表的な盲点は以下の3点です。
1. 画像が多い本(漫画・写真集)における配信コストの圧迫
70%ロイヤリティを狙う際、注意が必要なのが前述した「配信コスト」です。文字中心のテキスト本であればファイルサイズは1〜3MB程度(コスト1〜3円)で済みますが、高解像度の漫画や写真集、図解満載の本では50MB〜100MBを超えることがあります。
もし100MBの漫画を500円で販売し70%プランを選んだ場合、配信コストとして100円が引かれ、(500円 - 100円)× 70% = 280円の印税となります。この場合、あえて配信コストが引かれない35%プラン(500円 × 35% = 175円)と比較しても大きな差が出にくくなったり、価格設定次第では手取りが逆転するケースもあるため、電子書籍自費出版の収益性を最大化するにはデータ容量の最適化が必須となります。
2. 電子書籍印税の確定申告と税金の取り扱い
電子書籍の印税収入を得た場合、電子書籍印税の確定申告と税金のルールを正確に理解しておく必要があります。副業として取り組む会社員の場合、年間の印税所得(総収入から表紙外注費や執筆ツールの利用料などの必要経費を差し引いた額)が20万円を超えると、所得税の確定申告義務が生じます。
所得区分としては、副業規模であれば原則「雑所得」となりますが、継続的な事業として認められる場合は「事業所得」として青色申告特別控除の対象となる場合もあります。また、Amazonは米国企業であるため、出版手続き時に「W-8BEN(米国内国歳入庁の租税条約に関する書類)」の免除申請手続きをオンライン上で正しく行わないと、日米で二重課税(米国で30%源泉徴収)されてしまう点も初心者が最も注意すべきポイントです。
3. プラットフォーム依存とアカウント規約リスク
Amazon KDPセレクトに登録して70%ロイヤリティと読み放題対象を選択する場合、「他プラットフォーム(楽天Koboや自社サイト等)での電子版配信が一切禁止される」という排他規定(独占配信義務)が課されます。規約違反が発覚した場合、アカウントの一時停止やロイヤリティの没収といった重いペナルティが科されるリスクがあるため、規約の遵守は徹底しなければなりません。