世界枠とは別に、日本国内の歴史において語り継がれる「日本三大美女」の顔ぶれにも興味深い特徴があります。実はこの日本三大美女についても公式な公的定義はなく、時代や編纂者によって複数の説が併存しています。
最も広く支持されている組み合わせの一つが、衣通姫(そとおしのひめ / 古代・允恭天皇の時代)、藤原薬子(平安初期)、そして静御前(鎌倉初期)です。また別のバリエーションでは、戦国時代の悲劇のキリシタン女性細川ガラシャや、織田信長の妹であるお市の方が加わるケースも目立ちます。
これらの女性たちに共通しているのは、単に整った容姿を持っていたというだけでなく、「激動の政争に巻き込まれながらも、凛とした尊厳と矜持を貫いた」という強い物語性(ナラティブ)です。とりわけ静御前は、捕らわれの身でありながら源頼朝の面前で「吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞこひしき」と義経への愛を堂々と歌い舞ったエピソードによって、永遠のヒロインとして日本人の精神史に刻まれました。