スーパーの産直コーナーや道の駅で見かける個体と、昔ながらの「へちまたわし」にはどのような境界線があるのでしょうか。植物学的には同一のウリ科ヘチマ属(Luffa cylindrica)ですが、その利用分岐点は「交配後の収穫日数」と「繊維の発達度」にあります。
沖縄で「ナーベラー」と呼ばれる系統の多くは、果皮が柔らかく繊維質が緻密な食用専用種が選抜されています。開花からわずか10日〜16日程度、長さ20cm〜25cm前後の未熟果の段階で収穫するため、内部には柔らかなスポンジ状の組織のみが形成され、筋っぽさは皆無です。一方、たわし用は開花から40日以上放置して完全に完熟させ、外皮が茶色に変色して強固な網状維管束が発達するまで乾燥させたものです。
家庭菜園で栽培している場合、「大きくなったら食べよう」と収穫を欲張るのは禁物です。肥大化して30cmを超えると、内部では急速に維管束が木質化し始め、包丁を入れた瞬間にギシギシとした手応えが生じます。この状態になったものは加熱しても硬い糸を噛むような口当たりになり、食用には適しません。手で持ったときに弾力があり、皮にみずみずしい緑色が保たれている若布を選ぶことが最初の鉄則です。