桑島のキャリアを語る上で欠かすことができないのが、元妻であり俳優の安達祐実を日々撮影し続けた壮大なドキュメンタリープロジェクトだ。講談社から刊行された写真集『我我』、そして続いて発表された写真集『我妻』は、夫婦という極めて私的な関係性をメディアへと開放した衝撃作として波紋を呼んだ。
日常のあらゆる瞬間をカメラで記録し続ける行為は、表現者としての執念そのものだ。朝の寝起き、食卓を囲む風景、旅先で見せたふとした眼差し。日常の断片が集積することで、作品は単なる家族写真を超えた普遍的なドキュメンタリー写真としての強度を獲得していく。身近な存在だからこそ撮れる距離感と、写真家としての客観的な視線が交差する点に、彼らにしか到達できない表現の深淵が存在している。