伊黒小芭内の最期が描かれたのは、原作単行本23巻に収録された第200話『勝利の代償』です。激戦が終わり、静寂が訪れた夜明けの街並み。その片隅で、同じく瀕死の重傷を負っていた甘露寺蜜璃を抱きかかえ、二人は静かに最後の言葉を交わしました。
両腕を失い、痛みすら感じなくなっていた蜜璃は、自らの死期を悟りながら震える声で胸の内を吐露します。「私っ 私 おばないさんが好き ずっとずっと好きだった」「もしまた人間に生まれ変われたら 私をお嫁さんにしてくれますか?」――極限の死線において放たれた、純度100%の魂の告白でした。
その言葉を受け止めた伊黒は、両目から血と涙を流しながら、かつて見せたことのない穏やかな笑みを浮かべて返答します。「勿論だ 君が俺でいいと言ってくれるなら 絶対に君を幸せにする 今度こそ死なせない 必ず守る…」。過酷な運命に翻弄され、自らの血を呪い続けた男が、人生で初めて自らの幸福と未来を願った伝説の場面です。