『夢の中へ』が何十年聴いても色褪せない最大の要因は、巧みな楽曲構成とリズムのアプローチにあります。キーは親しみやすいAメジャーを基調としながらも、随所にアクセントとなるコードワークが散りばめられています。
特筆すべきは、跳ねるような16ビートのリズムと、アコースティックギターのストロークが生み出す軽快なグルーヴ感です。編曲を手がけた星勝によるストリングスやブラスの装飾が、単なるフォークソングにとどまらない洗練されたポップスへと楽曲を昇華させています。
また、陽水自身のボーカルは言葉の語尾をわずかに伸ばしながら脱力しており、リズムの推進力と歌声のリラックス感が生み出す「心地よいギャップ」が、聴く者を惹きつけて離さない中毒性を生み出しています。