「タラレバ」とは?勝負や仕事で禁句とされる真相と後悔を断つ思考法

「タラレバ」とは?勝負や仕事で禁句とされる真相と後悔を断つ思考法

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タラレバが最も残酷な形で金銭的致命傷をもたらす現場が、株式や暗号資産、FXなどの金融マーケットです。個人投資家の間で交わされる投資におけるタラレバの後悔は、投資行動を歪める主たる元凶となっています。

「2015年にビットコインを100万円分買っていたら今頃数十億円だったのに」「先週の暴落時にあの中小型株を売っていなければ、大儲けできていた」――相場コミュニティでは、こうした声が日常茶飯事のように飛び交います。しかし行動経済学が解き明かしているように、過去のチャートを見て発するタラレバは、未来が見通せない中で資金を投じた当時のリスクプレミアムを完全に無視した「後知恵バイアス(Hindsight Bias)」にすぎません。

より深刻なのは、このタラレバ思考が二次的な実害を引き起こす点です。「あのとき買えなかった機会損失を取り戻そう」と焦るあまり、すでに高騰しきった相場に過度なレバレッジをかけて飛びつくFOMO(取り残される恐怖)に駆られたり、ルール通りの損切りができずに「あの買値まで戻ってくれれば」と神頼みの塩漬けを続けたりして、最終的に資産を全額溶かして退場するケースが典型例です。

市場で長年生き残る熟練の機関投資家やプロトレーダーの手記を紐解くと、彼らは例外なく「相場にタラレバは存在しない」「逃した魚の大きさを数える時間があるなら、次の仕掛けの損益比率(リスクリワード)を計算せよ」と口を揃えます。市場が突きつける価格こそが唯一の正義であり、タラレバを反芻する行為は自ら相場に白旗を掲げるに等しい行為です。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。