「この体調不良がいつまで続くのか」という見通しを持てないことは、当事者にとっても保護者にとっても最大の精神的重圧となります。まずは日本小児心身医学会の診断基準に準拠したセルフチェックを行い、現在の状態を客観視することが出発点です。
以下の症状のうち、3項目以上が当てはまり、甲状腺機能低下症や心疾患、貧血などの他疾患が除外される場合、起立性調節障害の疑いが濃厚となります。
- 立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい
- 立っていると気分が悪くなる、ひどくなると倒れる
- 入浴時や嫌なこと・緊張した場面で気分が悪くなる
- 少し動くだけで動悸や息切れがする
- 朝起きるのが極めて辛く、午前中は調子が出ない
- 顔色が青白く、血色が悪い
- 食欲不振や朝の吐き気がある
- 強い倦怠感や疲労感が抜けない
- 頭痛が頻発する
- 腹痛を訴えることが多い
- 乗り物酔いをしやすい
気になる完治までの期間ですが、臨床統計データによれば、適切な療養環境を整えた場合、発症から1年で約50%、2〜3年で約70〜80%の患者が日常生活や学業に支障のないレベルまで回復を遂げます。ただし、高校卒業前後までの数年間、季節の変わり目や気圧の低下、テスト期間などの負荷に応じて症状の一時的な再燃を繰り返すケースは珍しくありません。
回復過程は直線的な右肩上がりではなく、「一進一退の波」を描きながら階段状に進みます。最初に「夕方以降の活動性が高まる」段階が訪れ、次に「午前中に短時間座っていられる」ようになり、最終的に「午前中から登校・活動が可能になる」という順序を辿ります。「昨日は登校できたのに今日は起きられない」といった日々の揺らぎに一喜一憂せず、半年から年単位のスパンで心身の成熟を待つ姿勢が不可欠です。