ソーシャルメディアやネット掲示板(知恵袋・各種コミュニティ)を調査すると、「賞味期限が切れて1週間の納豆を毎日のように食べているが腹痛など起きたことがない」という猛者がいる一方で、「1週間切れた納豆を食べたら夜中に猛烈な下痢と嘔吐に襲われた」という被害報告も確実に散見されます。この両者の決定的な分かれ目はどこにあるのでしょうか。
実態を分析すると、鍵を握っているのは冷蔵庫内の保存環境と開閉頻度です。家庭用冷蔵庫のドアポケット付近は、開閉によって頻繁に温度が15℃〜20℃近くまで上昇します。納豆菌は10℃以下で活動が極めて緩慢になりますが、15℃を超えると再び急激に発酵を再開します。この「温度の乱高下」を経験した納豆は、未開封であっても過発酵と雑菌の侵入が急速に進みます。一方、冷蔵庫奥のチルド室(0〜2℃)で一定温度を保たれていた納豆は、1週間程度ではほとんど品質がブレません。
また、納豆による食中毒の症状は、納豆菌そのものが引き起こすのではなく、納豆菌の勢力が弱まった隙に外部から侵入・増殖した「セレウス菌」や「黄色ブドウ球菌」による毒素型食中毒が主原因です。これらに汚染された納豆を口にすると、食後数時間から半日程度で激しい腹痛、嘔吐、水様便などの急性胃腸炎症状を引き起こします。「発酵食品だから絶対に安全」という油断が、傷んだ納豆の見極めを鈍らせる最大の落とし穴となっています。