国際社会との価値観の相克は、文化遺産の指定をめぐる場でも鮮明にあらわれる。「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部としてユネスコの世界文化遺産に登録された際も、大峯山の入山規制は国際的な懸念と賞賛の双方が交差する議論を呼び起こした。世界遺産としての普遍的価値と、地域が守り抜いてきた宗教的慣習の衝突は、簡単に解の出ない問題を突きつけている。
また、能楽や歌舞伎といった伝統芸能の世界においても、かつては女性の排除が当然とされていた。しかし現代では、若手演者の育成や公演の形式において柔軟な変化が見られるケースも増えている。世界的な多様性の波の中で、日本が誇る歴史的文化がどこまで変容を受け入れられるのか、模索は続く。