真鍮を愛好する最大の醍醐味は、時間の経過とともに表情を変える「エイジング(経年変化)」にあります。新品の真鍮はピカピカと輝く金色を放ちますが、空気に触れ続けることで表面に薄い酸化被膜が形成されます。
この酸化被膜は、金属内部を腐食から守る自然の保護バリアとして機能しつつ、深みのあるアンティークゴールドへと色合いを落ち着かせます。合成塗料で着色されたフェイク品は表面が剥がれてみすぼらしく劣化していきますが、本物の真鍮は触れる手の油分や空気環境によって、持ち主だけの独特の艶と陰影を育んでいきます。
さらに湿度の高い環境に長期間置かれると、表面に青緑色のサビである緑青(ろくしょう)が発生します。かつては有害と誤解されることもありましたが、現在では無害であることが公的に証明されています。緑青は真鍮が本物の銅合金である証拠でもあり、ヴィンテージ品特有の味わいとして高く評価される要素の一つです。