実写版『浦安鉄筋家族』を語る上で外せないのが、ドラマ史上稀に見るメインロケ地解体事件です。
本作の撮影中、2020年春の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、撮影は一時中断を余儀なくされました。大沢木家の外観および内部の撮影に使用されていた千葉県内の一軒家は、もともと取り壊しが決まっていた物件をハウススタジオとして期間限定で借りていたものでした。しかし、撮影休止期間中に契約期限が到来し、撮影再開を待たずに家が更地へと解体されてしまったのです。
主役の家が存在しないという絶望的な状況に直面した制作陣でしたが、監督の瑠東東一郎や脚本のヨーロッパ企画・上田誠らはこのピンチを逆手に取りました。劇中で「家がなくなった」という展開をそのままストーリーに組み込み、大沢木家がサンバハウスやプレハブ小屋に仮住まいするという破天荒なプロットへと書き換えたのです。
この前代未聞のトラブルと放送日程の長期延期が重なったことから、一部で「打ち切りになったのではないか」という噂が飛び交いました。しかし実際には打ち切りではなく、スタッフ・キャストが一丸となって知恵を絞り、全12話を予定通りやり切るという執念の完走を果たしています。