店頭で多くの消費者が直面する最大の謎が、近江兄弟社のメンタームとロート製薬のメンソレータムの違いです。両者は有効成分やパッケージのトーンが酷似していますが、明確に異なる独立した医薬品・医薬部外品ブランドとして展開されています。
主成分に着目すると、どちらもdl-カンフル、l-メントール、ユーカリ油を配合した皮膚保護軟膏であり、ひび、あかぎれ、しもやけ、かゆみなどを鎮める効能を持ちます。ただし、基剤の処方バランスにわずかな違いが存在します。メンタームは皮膜形成力と滑らかさを両立させるためパラフィンや酸化チタンの配合バランスを工夫しており、メンソレータムと比較して「ややしっかりとした塗り心地でべたつきにくい」と評される傾向があります。
シンボルマークの違いも象徴的です。メンソレータムがおなじみの「リトルナース(看護師の少女)」をトレードマークとしているのに対し、近江兄弟社メンタームはギリシャ神話の太陽神アポロンをモチーフにした「アポロ坊や」を採用しています。これは、夜明けと希望、そして人々の健康を守る光を象徴するデザインです。
ロート製薬との資本関係を疑問視する声も散見されますが、現在両社間に直接の資本提携や系列関係はありません。近江兄弟社が手放したメンソレータムの日本国内販売権を1975年に取得したのがロート製薬であり、その後1988年にロート製薬が米国メンソレータム社そのものを買収したという歴史的経緯があります。